田むら「吟ぎんが」東京の地酒 特別限定酒

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 東京の地酒

東京の西、青梅、昭島。
そこは酒どころです。
東京の地酒どころと言った方が、聞こえは良いですかね。
東京の人自身が意外と知りません。
一番有名なのは「澤乃井」の蔵元だと思いますが、「嘉泉」という銘柄を中心にしている「田村酒造場」という蔵元も、良いお酒を届けてくれています。
こちらの特別限定酒に「田むら 吟ぎんが」という銘柄があって、味わいのある純米吟醸酒です。
以前には私がいた店にも置いていました。私のおすすめしたいお酒だったこともあって、メニューに入れたのが理由です。
このお酒は特別限定酒でもあり、特約店のみの販売ということですから、普通の酒屋さんの店頭に並ぶことは先ずないと思います。目にした人も少ないのではないでしょうか?

今回取り上げた「田むら 吟ぎんが」は、「淡麗辛口」ではありません。
吟醸の香りも強くはありません。
いわゆる派手さは何処にもなく、米の旨さ、酒の旨さを追求した造りを目指したのだろうと想像します。
ここ何年もの間、いやいやもっとずっと長い間、「淡麗辛口」という言われ方のお酒がもっとも引き合いの多い分野です。これは今でも大きく変わってはいません。そしてその分野を先頭で引っ張ってきたのが新潟。
ところが最近の新潟には、この枠から引っ越しをして新しく挑戦しているお酒が増えてきました。

 伝統で築いた自信のなせる挑戦

蔵元のホームページには「最高の技術を投入した渾身の酒」とあるぐらいですから、もちろん自信もあるでしょうし、やはり挑戦する意気込みも違うのでしょう。
いくら淡麗辛口が人気だからといって、果たしてそこからどうやって新しい流れを作っていくかも、日本酒の未来のためには必要な挑戦です。

こうして自信の自慢の、渾身の酒を造って可能性を広げる勇気は、なかなか持てないと思います。もし、売れなかったら… 受けなかったら… という不安はあるはずです。誰しも挑戦は簡単ではありません。
長い伝統を守りながら築き上げた技術があるからこそ、「田むら 吟ぎんが」の挑戦は成り立つのだろうと思います。アイデアや思いつきだけでは成し得ません。さらに「守る」ということは「攻める」ことだともよく言われるように、これにも勇気がなければ進めません。

ほんの少し高めの酸と、奥にある米の甘みのバランスが良く、辛さを求めなかった良さも、同じくここに引き出されているように思います。
近くの酒屋さんなどで手に入れられないことが残念です。
この「田むら 吟ぎんが」という酒。
ひとつ不思議な特徴があります。
グラスに注ぎよく注意しないと気づきませんが、そっと透かしてみるとわかります。薄く、本当に薄くピンクに見えます。

年をとると頑固になるとよく言われます。
しかし、今の私は日本酒にこだわりを持ちません。
お客様によくきかれる質問をひとつ上げておきます。
「どのお酒が美味しいですか?」
田村酒造場: 田むら吟ぎんがの詳細は蔵元のホームページで