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福小町・株式会社木村酒造
この品川でのきき酒会当日は特別に冷え込んだ3月7日でした。そのせいで会場に入るまでは燗酒が恋しい気持ちでいっぱいでした。ところが会場の各ブースには、前記事で紹介した春霞の花ラベルに代表されるように春限定のお酒も並び、花見シーズンを当て込んだ商品がたくさんありました。
特別純米生酒直汲み角右衛門
・ 小売価格 2,800円(税抜)/1.8L
使用米が「吟の精」と「めんこいな」。私はこの「めんこいな」というお米は初耳でした。少し調べてみると酒米ではなく食米でした。
出羽鶴・秋田清酒株式会社
こちらの秋田清酒株式会社さんでは4つの銘柄をそれぞれ競わせるようにして造っています。出羽鶴、刈穂、やまとしずく、晴田の四銘柄。特に出羽鶴酒造、刈穂酒造と二つは蔵の場所も全く別で各自独立していると考えた方が良さそうです。この日の会場でも出羽鶴と刈穂は隣同士で別のブースを設けて出展していたので、なおさらそう感じました。
おすすめ飲用温度 10-15℃ または 40-50℃蔵伝承の秋田流生もと仕込で、寒冷期にじっくりと長期低温発酵を行い、きめ細やかな香味と、深みのあるなめらかな旨味が特徴です。肉・魚・鍋物などの料理に相性の良い純米酒です。
昨年のきき酒会の時の記事では少し取り上げただけなので、ここではもっと詳しく紹介します。
ここにも「めんこいな」が原材料に使われていますので、しばらくこのお米の名前は覚えていられそうで、自分もやや安心。お米がどうだという実感ではわからないながら、晩酌価格で出されているこのお酒の特徴がよく見えます。冷蔵庫で冷やしすぎず、いわゆる冷や(常温)か熱燗で飲むのに適するという内容が、自分で飲んでみて伝わってきます。夏ならば冷蔵庫で管理しながら、冬は室温でも問題なく、好みによって燗をして楽しむ。生もと造りの魅力もそこに詰まっている感じです。
何度も話に出すことで「日常にある日本酒」こそが日本酒の将来を支えると私は考えていて、プレゼント用やお祝い用、ハレの日用にばかり力を注いでもどうなんだろう、というのが私の正直な意見です。そんな中でのこの「出羽鶴生もと仕込み純米酒」は力強い味方です。
先ほどまでの話と矛盾してはいけませんが、フレッシュ感満点のこんなにごり酒も偶には味わってみたい。失礼ながら、毎日何杯も飲んでいては飽きてくるに違いなく、もちろん日常に置いているにはやや無理があるのはわかります。しかし、1,500円(税抜)/720mlならば時には自分で買ってみることも可能でしょう。友人などとの集まりに、ラベルの名前を見ながら若き夢を語るも良し、思い出すも良し。楽しむシーンを演出してくれるはずです。