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またまた罪な東薫酒造
いつもながら霞ヶ浦の近くにある東薫酒造株式会社さんは、またまた罪なお酒を出品してくれていました。年に2回しか造らないお酒だそうで、もちろんパンフレットにも載っていない、運が良ければ出会えるお酒です。
「今回はうまく持ってこれたのですが、来月はわかりません。なくなっていたらご免なさい」と言われたお酒です。
東薫純米吟醸愛山一度火入れ(生貯)
・ 原料米: 愛山100%
・ 精米歩合: 60%
・ アルコール分: 17
・ 価 格: 1,830円(税込)/720ml
東薫純米無濾過山田錦一度火入れ(生貯)
・ 原料米: 山田錦(兵庫産)100%
・ 精米歩合: 65%
・ アルコール分: 16
・ 日本酒度: +2.5
・ 酸 度: 1.4
・ 価 格: 1,240円(税込)/720ml
・ 価 格: 1,240円(税込)/720ml
山田錦という酒米は既に多くの方から認識されているお米ですが、愛山(あいやま)はまだ知らない人が多い酒米です。私もそれほど詳しいわけではなく、時期としてはかなり昔の銘柄で、今では幻に近いほどに作付けが少なく手に入りにくいが故に高価な酒米になっています。
話を伺うと、この両方の価格の差はそのまま米の値段です、と言われました。しばらく前までは日本で作られている愛山の殆どを「剣菱」さんが契約栽培にしていたそうですから、他の酒蔵では手に入れることさえ叶わなかったのが現状だったとのことです。
この東薫の二種は値段の差こそあれ、味わいも全く違うため、飲む人の好みの差だと考えるべきでしょう。
愛山の方は酸味も強くかなり力強い味わいに仕上がっています。この個性は好みが分かれそうですが、冬に同じく力強い素材の味噌に合う牡蠣やアンコウの鍋物と一緒にいただくと、お互いを引き立てあってその個性が更に生きてきそうです。
一方、山田錦の東薫はバランス抜群で主張はほどほど。優しい味わいが深くまで染み渡っているのは誰にも感じるところでしょう。
来月はもう一つの限定酒を残っていれば出品してくれるそうです。実はこの3品をもってシリーズになているのだそうで、やはり罪な酒蔵です。
東薫酒造、恐るべし。
聖泉のブレンド酒
ここで出品されていたのが「協会77+901酵母」
なんとも不思議な出で立ちでテーブルに並んでいるのです。
和蔵酒造
聖泉軽快旨口純米
テーブルの説明書きにはこうあります。
「リンゴ酸特有の爽やかな酸味と軽快な旨口が見事にブレンド。人肌~ぬる燗でお楽しみください。」
1350円(税込)/720ml
77酵母と901酵母でそれぞれ別に造ったお酒をブレンドしてあるそうです。
確かに気持ち良い酸が魅力で、香りもくどくなくぬる燗には本当に合うに違いありません。
酵母のことは私も全部覚えているわけでもなく、人に詳しく説明できるわけでもないので、日本醸造協会さんのホームページより以下を引用させてもらいました。詳細はそちらのホームページを御覧ください。
№77 泡なし酵母リンゴ酸高生産性 多酸酵母リンゴ酸が主成分であることを特徴とする芳香の高い多酸酒、ブレンド用、増醸酒用、貴醸酒用、長期熟成酒用、低濃度酒用№901 泡なし酵母性質は9号酵母(泡あり酵母)と同じで、もろみで高泡をつくらない酵母短期もろみで華やかな香りと吟醸香が高い
こんな風に違う酵母で造ったあとでブレンドする場合も、その効果まで読めるのでしょうか?しかし今回のこの出品酒はまろやかになり奥行きも感じさせる仕上がりになっていて、日本酒も実はブレンドが当たり前なのだということを改めて思い出しました。
もともと同じ造りにしたとしてもタンクAとBが全く同じ味になるわけはないでしょう。その2つをブレンドして均一化すれば安定して出荷できるし、ブレンドしてやや様変わりすることも楽しめるのでしょう。
日本酒はなるほど奥が深い。
私の想像など及びもつきません。
続く…