居酒屋アルバイトのモチベーション作り

 従業員のモチベーション

もしかしたら、私たちはモチベーションづくりを勘違いしているのではないかと思い、ここにまとめてみます。
どうしても売上の達成が不可欠になる居酒屋にとっても、社員・アルバイトへのモチベーションの持たせ方は常に課題です。最もわかり易い例は大入り制度でしょう。○○万円売り上げた日は一人500円~1,000円支給しますよと言う決まりごとです。すでに取り入れているお店や会社はたくさんあるはずです。

月間の目標を達成するとアルバイトの人は時間給のアップだとか、社員だと達成賞だとか、どんなやり方であっても結局は金銭を伴う報酬になることがほとんどです。またそれが一番わかりやすいこともあって、取り入れる店が多いのだと思います。私が仕事をしていたところも手を変え品を変えして実施していました。

効果を上げるにはそれに加えて、常に話題にするとか毎日朝礼で話すとかの「意識」させることを繰り返す必要があります。また、到底届きそうでない数字であれば逆効果になることさえあります。果たしてこんな努力をして本当にモチベーションになるのかどうか、私には実は半信半疑でしかなく、活用できなかったというのが本音です。
当然、反論もたくさんあることでしょうし、私の力のなさが理由であれば一種の幸いと思います。上手く使える店長や会社であるなら問題ないのですから。

 研修制度

会社によっては「社内研修制度」を設けて、その合格で昇進や昇給に繋げているケースも当たり前にあります。外部の研修などで資格を取得することで昇給などのモチベーションをつくる方法もあることでしょう。戦力としての技能や知識が上がるのですから、これはお互いに願ったり叶ったりの結果かも知れません。
研修制度の内容には様々なことがありすぎるので、そちらはこの場では省くことにします。しかし、どんな内容の研修であろうと、ただ講義を聞いて帰ってくればいいというような、あってもなくても良いような研修でない限り、勤務時間の範囲内として自分から進んで参加しようという従業員は多くないはずです。
その割に、仕事後に自分で授業料を払いながら何らかのスクールに通っている人もいます。自分にとって本当に必要で力になるものでないと、いくらモチベーションづくりに役立てようとしたところで空回りになってしまうのです。

 客単価を例に

日替わりのテーマとして客単価を取り上げたことがあります。
30坪足らずの店で、店長の公休日に私が代わりにいた日のことです。すでに1年ほどの経験のあるアルバイトの19歳の女性とホールは2人だけでした。そこで開店前にその日の客単価目標を決めました。彼女が帰るのが23時でしたので、その時間現在で3,300円の客単価を維持することが目標です。
「細かいことは私がフォローするから、動きたいように動いてみろ!」
「わかりました。面白いですね。」と、これが彼女の反応でした。

私はそのために何をしろとかの指示は一切しませんでした。彼女がどういう気持で仕事をするかを見たかったのです。

彼女は日頃からお客様とはよく会話もし、人気もあります。普段の客単価が2,700円ほどが現状でしたが、深夜の状況で23時から閉店までに300円ほど単価が下がっての2,700円が常でしたので、私の目論見としては閉店時で3,000円の客単価でフィニッシュしようということが目標でした。
売上目標ではなく客単価目標にしたのはどうしたって客数にはブレがあり、売上目標ではブレ過ぎることがあるからです。客数は何人でも、客単価目標には何も影響しません。しかも目の前で常に確認できることから、最も分かりやすかったからに他なりません。

 彼女の行動

すでに1年ほど仕事をしていますから、彼女は若くてもそこそこベテランです。その日私がしたことは彼女が動きやすいように基本的には全部フォローに回ってやったことです。そしてずっと彼女を観察していたのです。
幸い満席にはなって、忙しい中で彼女は、いつも以上にその日のおすすめ料理をお客様にアピールしています。
空いたお皿を黙って置いておくことはもちろんしませんし、常に声を掛けているから呼ばれることもほとんどありません。
伝票を見ながら遅れている料理はないかと度々チェックしています。
「調理長!○○はもう出ますか?」と遠慮なく聞いています。
「△△を先にお願いします。」と交通整理もしています。
この娘、大したもんだなあ…

この日私は何も教えてないし、指示してもいません。1年仕事していれば、目標に対して何をすべきか彼女はわかっているのです。普段から気をつけることや守らなければならないことを話題にしていれば、若い彼女はすでに身につけているのです。

私にわかったことは、見えない、見えにくい目標ではなく、すぐに確認でき対処できる目標の方が誰にも分かりやすく、答えも早く出るということ。もちろん達成の報酬など彼女とは何も約束していません。
しかし、彼女は22:30頃からはラストスパートでした。そして23時になった時に3,500円を超えていることにすこぶる満足そうでしたし、私も精一杯の賛辞と感謝を彼女に伝えました。
「やりましたね!」と嬉しそうに笑っています。
次に会った時にもそれを話題にしたことは言うまでもありません。
年齢など関係なく、もしかしたらゲーム感覚も取り入れながら、毎日の面白さを探してチャレンジすることの方が、人は燃えるかもしれません。そんなことを私に教えてくれた彼女には真に頭が下がります。
ありがとう、いいことを教えてくれました!