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自分の尺度に合わせる
居酒屋では季節に合わせたおすすめ料理や、スタッフの創作料理などを考案することは珍しくありません。そこで大切なのが、「こんな料理を作りたい」ではなく、「誰が食べるのか」です。
家庭でも、居酒屋でも他の飲食店でも、「誰が食べるのか」ということはその時の重要な課題のひとつです。もちろん、いくらの予算で作るのかは当たり前です。
20代前半の、居酒屋の調理担当者を集めて「自分が売りたいもの」をオリジナルで考えて料理を作って提案する、というテーマを与えるとわかることがあります。
あるいは変わり餃子をドーンとお皿に丸く盛り付けて、オリジナルのソースで食べてもらうように。
「そうか、教えてなかったなあ…」と私が気付くのです。
そこで、どう教えようかという自分への課題ができます。
教えることと学ぶ心
どうしたって自分の尺度に合わせるしかない状態になります。相手の立場になって、お客様の立場になって考えることは、やはり自然に身につくものではないのです。料理ひとつでも、その向こうにあるものを理解できるようになって初めて、本質を見極め、本質に近づいていけるのです。真面目に日々の仕事を繰り返すだけでは限界があります。そこにどう工夫をし、何を肉付けしていくかは、やはりアドバイスが必要です。
自分が教える立場になって初めて気づくことは、自分が如何に知らないかということ。教えてあげたい人に、教えて欲しいと思ってもらうことの難しさ。私自身がたくさん失敗しました。
「教えること」と「学ぶ心」は実は同じです。知らないことは自分の尺度でしか判断できません。自分に合わせるしかないのです。そこでもう一歩踏み込んで必要なことを想像してみることはできます。
今自分が担当していることを、新人に教えられるだろうか?
こう考える習慣を身につけることができれば、「教えること」と「学ぶ心」を身につけることができると、私は思います。