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神田の飲み屋街
東京の神田駅と言えば東京駅からJRでひと駅。
今でも神田◯◯町という名前がいくつも残った一帯の中心にあります。
最近でこそ大型のチェーン店も増えてきましたが、規模の小さな飲み屋が並ぶ、失礼ながら古臭い街です。
そんな神田を根城にして飲み歩いてきた人たちなら、知らない人はいないはずの店が「鶴亀」です。私が知る限りでも35年前とほとんど変わらない佇まいで看板を灯し続けています。
その30年程前、カウンター席にはこの店の達人しか入ることが許されないのではないかと思えるようなコアなお店です。かと言って、決して敷居は高くなく、むしろ気軽に引き戸をガラガラと開けられる店構えなのが嬉しいところ。
焼きとりをはじめ、居酒屋の定番メニューはもちろん揃っています。
しかし、この鶴亀さんの特長は中華メニューが豊富なことです。そしてこの中華メニューがとにかく旨いから足が向いてしまうのです。
カウンターの上には新潟の地酒「鶴亀」を置いています。
私たちが入った後も、次々にお客さんがやって来ます。
続ける力
「継続は力なり」の言葉のごとく、何事も根気良く続けるには力が要ります。そんな中、この鶴亀さんは酎ハイを提供する時に必ず続けていることがあります。
最初の1杯にはメロンを一切れ付けています。きっとメロンが今よりもずっと高級品だった頃から変わらずなのでしょう。一時期パイナップルに変わったことがありましたが、すぐにまたメロンに戻して今に続いています。
この日一緒だった友人は最初が250円の酎ハイだったため、やはりメロン付きです。ところがこの酎ハイがかなり手強かったそうで、焼酎の濃さが尋常でなく、その一杯を飲み切るまでいつもの三倍ほどの時間を要していました。
自店の看板メニューを育てるには「特別感」と「継続」しかないのです。覚えてもらうまでどれほどかかることか。
お店を失敗してしまう人は、我慢できずに途中で止めてしまうのです。
鶴亀さんはおそらく中国の方が始めたお店だと思います。
ホールの女性たちは今もみんな中国の人でしょうし、調理人もそう思われます。
自慢の中華料理とメロン付き酎ハイ。
きっと40年以上、もしかしたら50年以上作り上げてきた個性は強い。
どうやら近くに2号店があるらしいことを知りました。
頭が下がります。