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恵比寿で生き抜く
JR恵比寿駅の西口を出て、左に少し行ったところに「たつや」というやきとり屋さんがあります。
いわゆる「もつ焼き」という方が、内容としては正しいかと思いますが、そんな細かいことはどうでもいいことにしてください。
40年以上の歴史があります。
最近の言い方をすればまさに「昭和レトロ」の店です。テレビの撮影などで使われたこともあるはずです。
私が仕事をしていた所の1号店が同じ恵比寿にあることからも、なおさら親近感があります。
「たつや」さんができた頃の恵比寿は、現在とは全く趣の違う街でした。
おしゃれな街というイメージは全く出来上がっていない頃です。
街の性質までが一変してしまう時間の中を生き抜いてくることは、並の努力ではできないことです。
どんな商売もそうでしょうが、始めることは案外と難しいことではありません。続けることが何しろ難しい。
実は、最近までわたしがいた店舗に、「たつや」さんのオーナーの方が時々、お客様として来てくれていました。いろいろと話をきくことが楽しみでした。ご本人は寡黙な方なのですが、こちらから尋ねることには気さくに、応えてくれたものです。
続けられる理由
「たつや」さんに17時に到着すると、すでに1階は満席です。
地下に案内されて見回すと、地下も何組かのお客様がいます。
席につき落ち着き、瓶ビールを注文します。
ドーンとよく冷えた大瓶がやってきます。
店の隅々に至るまで歴史を感じます。
古くはあっても、もちろん掃除は行き届いています。
「やきとり」は大振りで、焼き加減はちょうど良く、他の料理の味も申し分ありません。もちろん値段以上の価値です。
やはり長く続けてこられた理由がわかります。
やはり長く続けてこられた理由がわかります。
飲食店でよく勘違いしているケースがあります。
どんなアイデア料理を次々に生み出しても、その店の基本中の基本のメニューを地味ではあっても、大事にしなければ長く続けることはできません。
「たつや」さんでは、それが「やきとり」であり「煮込み」なのでしょう。
他のメニューも、失礼ながらありきたりのものがほとんどです。だからこそ、基本を本当に大事に大事にしてきたことがわかります。
創業◯◯年!と謳っている居酒屋は、どこもやはり何処にでもあるような当たり前の料理に手抜きがありません。
「やきとり屋」の基本を一途に守って来たからこそ、「たつや」さんは長い歴史を作って来たのだと思います。
老舗の銘店からは教わることが一味違います。
驚きの営業時間を記載しておきます。
[月〜 土] 8:00〜翌5:00
[日・祝祭] 8:00〜22:00