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ひやおろしと秋あがり
引き続き松戸観光案内所の2階。
今回の松戸観光案内所・千葉県産酒フェアのテーマは「秋の贅沢ひやおろし」です。
「ひやおろし」とは一度目の火入れをし、蔵でひと夏寝かせたお酒を夏の終わりと共に夜に出してくれる酒」、と私は理解していて、「秋あがり」と同じ意味だと思っていたのですが、若干違うようです。この日の千葉県産酒フェアの案内を掲載しているページからその違いを記載しているところを引用させてもらいます。
松戸観光案内所・千葉県産酒フェア
少し長いですが、分かりやすいのではないでしょうか。
◆「ひやおろし」とは、江戸の昔、冬にしぼられた新酒が劣化しないよう春先に火入れ(加熱殺菌)した上で大桶に貯蔵し、ひと夏を超して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の加熱殺菌をしない「冷や」のまま、大桶から樽に「卸(おろ)して」出荷したことからこう呼ばれ、秋の酒として珍重されてきました。◆「秋あがり」とは、「ひやおろし」が夏場を越して熟成した日本酒を出荷すること意味するのに対し、「秋上がり」とは、夏を越えて秋になって香味が円熟し旨味がのった(熟成した、酒質が向上した)ことを指します。
特に来月の9月の千葉県産酒フェアのテーマはこの「ひやおろし」と「秋あがり」の特集ということですから楽しみは倍増です。
寿萬亀(じゅまんがめ)と峯の精
寿萬亀 ひやおろし 秋の冴

鮮やかな秋色に染まった寿萬亀のひやおろしのラベルがとにかく印象的でした。かねてから、ひやおろしを燗にして飲むことが結構イケると思っていた私ですが、折角の生詰酒(2回の火入れのうち2度めの火入れをしないで出荷する酒)にもったいないのかなあと後ろめたい気持ちでいました。
後日、寿萬亀さんのホームページを見ると、今回出品のひやおろしの特徴に下記の表な一文があったのです。
厳寒期に仕込んだ純米酒が夏を越す事によって熟成し、香味が調和し、燗映えします。
ここにあるように穏やかに熟成した深みのある味わいは素敵でした。
寿萬亀 ひやおろし 秋の冴
純米原酒(限定品)
アルコール度:18度
酸度:1.8
原料米:国産米100%
精米歩合:70%
日本酒度:+3
値段:税抜1,300円/720ml
峯の精 ひやおろし吟醸 秋深し

こちらは落ち着きのある秋の風情を感じるラベル。申し訳ないことに「峯の精」という銘柄を私はこれまで記憶に残していませんでした。
蔵元は君津市にある宮崎酒造店さん。久留里線の俵田駅が近くの駅のようですが、駅から歩くのはやや辛い距離かなあ…というところです。
ご自身のホームページはご用意がないのか私には探せなかったので、千葉県酒造組合のホームページにある宮崎酒造店さんのページの説明書きを引用します。
峯の精 ひやおろし吟醸 秋深し
色付き始めたモミジのラベルが、秋も深まる時期にピッタリのお酒です。少し遅い登場のひやおろしですが、その分じっくりと蔵内で熟成して、口当たりまろやかに。
甲子(きのえね)正宗・飯沼本店
甲子喜醸酒スパークリング

きくと貴醸酒をベースに造っているそうです。しかもアルコール度数10%というところが珍しい。近頃流行りのスパークリング日本酒の多くはビールと変わらないような5%ほどのアルコール度数のものがほとんどなのに10%で勝負するということは、貴醸酒をベースに造ったからなのでしょう。
甲子喜醸酒スパークリング
日本酒度:-51
アルコール度数:10%
酸度:2
売価:670円(税込)/300ml
という内容から商品価値は各個人にお任せです。
※貴醸酒とは
お酒を仕込む際のもろみに加える水の代わりに日本酒を加えて仕込んだお酒。
必然的にかなり甘くアルコール度数も高く仕上がる。
甲子純米吟醸秋あがり
このラベルはシンプルでむしろ「秋あがり」の首掛けポップの方がずいぶんと目立つのが印象的。香りは抑えめで柔らかな純米吟醸という感じに仕上がっています。こちらはあまり燗には向かないかも知れません。
甲子純米吟醸秋あがり
使用米:五百万石
精米歩合:55%
日本酒度:15
売価:1,300円(税別)/720ml
かつては「甲子正宗」が主力だったでしょうが、近頃では正宗を省いた「甲子」のブランドが中心になっているように見えます。
ホームページを見ていると、若い人に日本酒を飲んでもらいたいという思いから、蔵人も若い人中心にして造っているそうなので、ブランド名もイメージを変えて進めているのかなと考えられます。
同じくヒストリーではなくフューチャーを語りたいと言うような意味の文言もあって、日本酒の未来を見つめながら努力を重ねていることも見えてきます。
東京近郊では以前から千葉の酒には特に注目していました。皆さんなかなかの実力で頭が下がります。
さあ、次へ行きましょう。