麦とホップ 黒 よくできたもんだ

 ハーフ&ハーフ

すでにしばらく時間は経過していますが、昨年にサッポロ「麦とホップ黒」を試した時に、感心したのです。
いわゆる黒ビールを模して造ったことは明らかなのです。そしてその黒ビールに似ていると言うと、詳しい方には「違う!」と言われるでしょうが、私と同じく一般の人には「うん、上手く出来てるよね」になると思うのです。
実際に黒ビールを単体で楽しむ人はそんなに多くないと感じています。そして、黒ビールもギネスのスタウトも一緒くたに捉えている人も珍しくはないでしょう。と、それほどに結構特殊な「黒ビール似」を発売する勇気にも頭が下がるのです。

いつの頃か、「ハーフ&ハーフ」という、通常の生ビールと黒ビールの生を半分半分にグラスに注いで提供する飲み方が流行し始めました。1980年代には、あの居酒屋「天狗」さんのメニューにも堂々と載っていたように記憶しています。

馴染みのない方には、確かに黒ビールの単体よりも飲みやすいハーフ&ハーフは、オシャレ感も演出しながら当時の若者たちには定着して行ったはずです。そのうちに、生のティスペンサーのないお店では、330mlの黒ビールの小瓶を注文して、半分に割るという飲み方も、多くはないですが普通に見られるようになりました。

 多彩な楽しみ方

ビール及びビールテイストの飲み物の中で大きな分け方をすると、私の好きなのはモルト100%のビールです。それは大きな問題ではなく、発泡酒や第3のビールと言ったビールテイストの飲料が多く発売されたことは、私は大きく支持する立場でいます。酒税の問題などから、自己の負担分やお客様が安価に飲めることを勘案した商品を、各ビール会社は相当な苦労と投資をしながら開発した結果のことであったはずです。

しかも、違うと言えば違うなりに十分な品質の商品開発に繋げてくれたと、私は心から感謝しています。自社のビールが却って売れなくなることも見込みながら挑戦したことは、大きな覚悟があったればこその、社命を賭けたくらいの意気込みだったのではないでしょうか。

そんな経緯からもふた時代が過ぎ、今わたしたちは多彩な楽しみ方を目の前に広げてもらっている状態です。極端な言い方をすれば、各ビール会社は昔なら1種類のビールだけを造っていれば良かった。ところが今の世になればそうは行かない。それに引きずられるように数々の選択肢を豊富に用意しなければ、すぐに飽きられてしまい兼ねない。何とも厄介で面倒くさい世の中になってしまっているのです。

 クラフトビールの流行

ここ数年、大手のビールメーカーだけでなく、クラフトビールの注目され加減が飛躍的に増えた関係もあって、クラフトビール全盛とも言えそうな勢いで酒造元が増えています。従って大手のビールメーカーはこれに対しても策を講じなければならなくなったのです。

競争が多いのは、現在の日本の経済システムでは歓迎すべきことであるはずなのです。しかし、そこに内包する矛盾には目を瞑っているようにしか見えません。気まぐれや目移りの多い国民を否定することはできません。だからこそ、そこにグルグルと取り巻かれながら進んでいくメーカーの生き残りは容易ではありません。

サッポロ麦とホップ黒。
グラスに注ぎながら、またしても余計なことにまで目移りしてしまう私です。
どう楽しむかと、指を折りながらグラスを眺めています。