立ち飲み屋 変遷の末の存在意義は

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 角打ちの延長

実は最近の立ち飲み屋さんには、あまり足を運んでいません。
ですから、流行となったような立ち飲み屋さんは知りません。
私には、立ち飲みの基本は「角打ち(かくうち)」です。
この基本を外してまで「立ち飲み」をする意味が、私にはないのです。
この10年ほどの間にいろいろな立ち飲み店が開店し、ブームになったお店もあると思います。お洒落に、そして落ち着くように店造りをしたところもあります。
それはそれであっていいのかと思います。
しかし、私には興味がないだけなので、これは私の我侭だと思って聞いてもらった方が良さそうです。世間の定義ではなく、私の勝手な定義にすぎないのですから。
  • 飲み物の選択肢が、眼を見張るほど多すぎてもいけない
  • 料理と呼べるほどに、手の込んだ肴があるのもいけない
  • 年寄りのための椅子をわざわざ用意するのもいただけない
  • オーダー伝票があるのも大きな勘違い

かなり昔、たまに通っていた立ち飲み屋では日本酒が1杯100でした。
機械の所定の位置に厚手のグラスを置きます。100円を入れて1級か2級かを選択してボタンを押すと燗酒が出てきます。1級酒も2級酒も同じ100円ですが、出てくる量が違います。2級はなみなみと溢れる寸前まで注がれ、1級はその7分目ほどでした。
上手くできたものだと感心しながら、2級酒しか飲まなかった記憶が…
肴は乾き物、缶詰。あとは魚屋さんのようなショーケースに並べた一品物です。ハムサラダ、おひたし、マグロのブツはあったような気がします。
そこに4時間ほどいるという無粋な真似をしたこともあります。
学生街にあったせいか、残念ながら満員の景色にお目にかかったことはありませんでした。
もちろん、その店は今はありません。

 神田「味の笛」

神田の老舗立ち飲み屋に「味の笛」という店があります。このところは行ってないので今現在の様子はわかりません。
ここは御徒町にある「吉池」というズーパーが展開しているお店です。
新潟の地酒を多く揃えて、手に入りにくい銘柄も必ず置いていましたね。
立ち飲みで新潟銘酒?という珍しい存在のお店でしたが、最近なら珍しくもないかもしれません。
やはり、気軽に入れる、比較的安く飲める、並んだりしない、というのが立ち飲み屋の基本のように思います。だから長居してはいけません。
以前の私のように、4時間なんてことは、もってのほかです。 


いっときの立ち飲みブームもあって、神田界隈にもたくさん出来ていましたが、今はどうでしょうか?ランチタイムにも手を出さなければならない現状は、やはりあるようです。
神田という街は、駅前を除いて土日は商売になりません。家賃も高いです。しかし、家賃の高い場所でないと「立ち飲み屋」は成り立ちません。痛し痒しのせめぎ合いです。
高田馬場の駅前に「立ち食いそば屋」があります。
ところが「そば屋」は昼間だけ、夜は「立ち食い寿司屋」になります。
いわゆる二毛作店舗。
ランチタイムは、それを専門に営業するだけのメニュー構成とオペレーションがなければ、利益など出ません。夜が良くないから少し昼でも、というような生易しいものではありません。そんな詰まらないものに手を出すくらいなら、シッカリと夜の対策を立てて取り組む方が賢明です。
立ち飲み屋の、未来はどう探るべきでしょうか?
立ち飲みを求めるお客様の、本音は何処にあるでしょうか?