別府 温泉町の夜を味わう

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 別府タワーから

別府 (5)別府タワー
日出を訪ねた夜は別府泊まりになりました。
暗くなる前にせめてと思い、別府タワーまで行き、町を上から見渡すことにしました。
車のテールランプが灯る頃ですから、時間はあまりありません。
別府タワーは1957年生まれですから、東京タワーよりも年上。
17階の展望台、年齢に似合わず元気です。ただ、訪れる人は滅多になさそうなのが、年相応ということですかね。
別府湾の南側が大分、北が日出町、そして西の真中に別府。
そういう位置関係にあるのも初めて知りました。

別府タワーの上からは雨に霞む遠い姿が、ぼんやりと南北に見えるだけでした。

北西の窓から見える何本もの湯気が立ち上る所が別府鉄輪温泉の辺りでしょう。
この高い窓から見てきた景色は、60年の間にどう変わっているのでしょう。

別府 (17)やよい通り

そこから少し街の中心に戻ると、アーケードのある商店街があります。
ここも長い歴史を持っていそうです。
「やよい通り」?もし違っていたらごめんなさい。
歩いていると、八百屋さんの前にかぼすがあります。
種なしかぼす、種ありかぼす、10個ほどがネットに入って350円と300円。前日に竹田市できいた「種なし」を初めてみました。姿の違いはありません。味は少し違うということでしたが、いずれにしても私が知るかぼすの値段とは大違いです。

やっぱり地元は手軽でいいなあ…

 別府・八坂レンガ通りの「日出」

別府_やよい天狗 (1)さらに歩いているとなかなか派手なのが出てきました。
「やよい天狗みこし」と名前があって、とんでもない大きさの天狗。お祭りで担がれる、この商店街を守ってくれる神様の化身だそうです。
途中の道を入ると、更にその横に、いにも私好きの路地を見つけました。

雨もやや強くなった頃ですから、この辺で今夜の店を決めたいところです。

すると、赤い字で「日出」とある店が目につきました。
昼間に訪ねた町と同じ名前。きっとママさんか大将かが日出の出身に違いないと決め込んで扉をガラリ。

6席のカウンターには先客が一人。奥の小上がりはまだ空いています。ママさんが一人でやっているお店のようです。

先ずは熱燗を二合で。
目の前のネタケースに食材は並んでいます。
小イワシは頭を取って塩焼きに。
「熱いうちに食べて」と言ってくれ。
同じく太刀魚の刺身は
「醤油?ポン酢?」ときいてくれ。
ニラ玉は
「玉子は柔らかめ、それとも固めが好き?」
ひとつひとつ声をかけてくれます。

こういう気遣いが嬉しい。

お店に「八鹿」の升は置いていたのですが、あいにくお酒の方は「八鹿」ではないようです。
話を聞くとやはりママは日出の出身でした。前は日出でお店(おそらくスナック)を長くやっていて、次は食事とお酒の店を出したくて、この別府にお店を構えたとか。
今では自分より年下のお客さんばかりだと言って笑っていました。
温かくて落ち着くお店です。

別府 (22)日出

仕上げに梅茶漬け。冷えた夜はこれに限る。

地元のお客さんに愛されるお店が一番ですね。お洒落なお店も、人が溢れそうなお店も、それはそれで良いのですが、この日の私の気分には最適なお店「日出」。

「遠いけどまた来たいですね。」と伝えると
「じゃあ、それまで頑張らないといけない。」と応えてくれました。
いい店に出会えたことを喜びながら、傘を開きました。