夏が終われば忘年会

長い間私は飲食の仕事しかしてきませんでした。
しかも、その殆どが居酒屋です。
調理の仕事から始まり、そのうち店長もやり、新規出店やら店舗管理やら、何やかやと歳月は過ぎていきました。

そんな中から、店舗側の人にも、利用する側の人にも、何か参考になったり、笑えたり、酒の肴になったりという記事を紹介できればいいなあ、と思い独り言を並べてみます。

お付き合いいただけると幸いです。

居酒屋のかき入れ時 年末商戦始まる

夏が終われば忘年会。
こう言うと多くに人たちが「気の早いこと!」と思うかもしれません。
だけど洋服屋さんがすでに冬物の支度を始めると同じく、居酒屋は「12月の本番まで、もう時間がない!」というほどになっているのです。

私の好きな小さな個人店では、あまり予算をかけることはできないでしょうが、ある程度の規模の居酒屋では、忘年会用リーフレットは、この時期すでに出来上がっているか、最後のチェックを終えて印刷に入る直前という状態のはずです。

今では8月が終わって9月になった瞬間に、多くの物販店では「ハロウィン」のディスプレイで賑やかになりますからね。何ごとも出足が肝心。早くから走り始めます。

私がいたところは、人一倍「忘年会」に力を入れます。
当然、店長を始めとしたスタッフはそれに向かって毎日毎日、手を変え品を変えお客様の忘年会勧誘に勤しむことになります。

「もうかい?まだ何も予定さえないよ」とお客様には半分は冗談のように笑われてしまいます。
しかし、ここが大事だとあとで気づくことになります。

お客様の心の現実味

9月やあるいは10月の初めから「忘年会!」と声をかけられても、実際のお客様は上の空です。現実味などありません。そのうち声をかける方もトーンが上がらなくなってきます。

それはそうでしょう、暖簾に腕押し、糠に釘という状態です。もはや、こんな言い方こそが、若い人には現実味がないと言われるかも知れませんけど。

お客様の方も年末に向かって、仕事は増え忙しくなる時期です。いちいち忘年会のことまで考えているわけはないのです。お客様にとって、実際に現実味を帯びてくるのは11月になり、最初の忘年会に幹事さんから予定を聞かれて初めてではないでしょうか。

だからこそ、ここが肝心なのです。
11月半ばになって、12月の金曜土曜の席が空いているようでは、居酒屋としては厳しい年末を向かえることになるのです。

「そうだ、うちの課の忘年会は決まったか?」とお客様が部下の方に尋ねる時には、思い通りの店探し、席確保で苦労することになります。

「店長、12月の第二金曜は空いてない?」
と残業帰りに飲みながら、聞かれることになり兼ねません。

お客様の役に立つ

どうしたって、店側の私たちは、店側の都合で物事を考えます。
お客様の都合を理解はしても、同じ立場で考えようとするには時間がかかります。

ここがポイントです。
忘年会の予約取りは一つの例に過ぎません。
お客様が困った時でなく、困る前に役に立つ。
困らせないことが一番なのです。

毎日の接客においても、この部分をいつも大切にしていれば、お客様の気持に寄り添うことができるのです。

10月の初めから「忘年会お願いしますよ!」ということの意味は、売上に直結すると同時に、お客様を困らせないお手伝いになることと信じて、気長に、そして粘り強く、迷惑にならない程度に、寄り添いながら提案することになるのです。

次には、また違う視点からのアプローチを紹介します。