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地酒ブームを潰した真犯人は
地酒がひとつの推進力となって、日本酒のマーケットを拡げていく。
地酒こそが美味しいというと、大きな間違いを振りまくことになり兼ねません。むしろ業界王手の蔵元さんの実力をもってすれば、素晴らしい日本酒を造り上げるのは訳ないことでしょう。
現在の若い人たちの飲酒人口が減っていると言われて久しいです。
そんな中で、日本酒のマーケットをこれまでと同じやり方で拡げて、定着させるのは至難の業です。今、日本酒に興味を持っている若い人は、少し増えているように感じますが、数字を上げての根拠ではありません。彼らが量をたくさん飲まないがために、どうせなら美味しいものを飲みたいと考えてのことかもしれません。
「獺祭」の評判も一役買っているでしょう。
こういう機会に「メーカー」「流通」「飲食店」の三者がどう一体になるかが一番の鍵です。
これまでが、この大事な関係をほとんど無視するかのように、自分の「売上と利益」だけを追求した結果、日本酒ファンの増加と定着になんの成果も残さなかったばかりか、むしろ減らしてしまった可能性もあります。
これまでの地酒ブームを潰してきた真犯人は、流通(問屋・小売)、そして飲食店だと私は確信しています。
同じ土俵とは
その1で提案したこの4銘柄を、別の角度からみてみましょう。
- 越乃寒梅 特別本醸造
- 八海山 特別本醸造
- 〆張鶴 特別本醸造「雪」
- 久保田 千寿
元々がほとんど同じくらいの価格で手に入るお酒です。
居酒屋で売る悪い例にしてみますので、考えてみてください。
- 越乃寒梅は最近の人は知らないから 1杯 600円
- 八海山は有名な地酒だから 1杯 1,000円
- 〆張鶴はこの中で一番希少だから 1杯 800円
- 久保田は人気があり、手に入りにくいから 1杯 1,200円
かなり乱暴ですがこう決めたとしましょう。
皆さんはどう感じますか?
久保田は越乃寒梅の2倍の価値を感じるでしょうか。
〆張鶴を800円で飲めるのに、久保田の方が喜ばれて売れるでしょうか。
それぞれの銘柄の味についての詳細や評価はここでは控えます。
私が「その1」で書いたように、「同じ土俵に上げる」ことが大切だというのは、このことです。
本来は大差のない価格で取引されているこの4種を、すべて 1杯 800円で提供したらどうでしょうか?業種や業態によって違うのは当然なのですが、その店では全て同じ値付にすることが「同じ土俵に上げる」ことだと私は考えます。
ブーム定着へ三位一体
元々の販売価格はメーカーの重大事項です。「この売価なら勝てる」という確信を持って決定しているはずです。それほどの思いで決めたことが蔑ろにされるとマーケットは崩れます。
一時、久保田千寿は1.8L 1本 5000円以上でディスカウント店に並んだことも有ります。その昔の越乃寒梅や八海山も同様です。これが真っ当な日本酒の売られ方でないのは明らかです。当然、メーカーの心痛は伺い知れます。逆にそれを喜ぶメーカーがいたら極めて残念なことです。
あくまで私の考えであって、商売の本質は違うと言う方もいるでしょう。それを否定するつもりはありません。私が日本酒ファンだから余計にそう思うのかも知れません。
流通段階で本来の価値以上の価格がつき、口にする人たちは、その価値以上の代金を払って飲む。これでお客様から「さすがだ、美味しいね~」と言葉が出るとは思えません。
自分で自分の未来を葬り去るような商売はよした方がいい。
メーカー(蔵元)、流通(問屋・小売)、飲食店の三位一体。
せっかく日本酒ファンになろうとした人たちを大切にする。
それは「飲んで良かった!」と感じてもらうことに他なりません。
「がっかり」や「不満足」を植え付けてしまっては、もう二度とその銘柄をリクエストしてくれないだけてなく、日本酒そのものから距離を置いてしまう。
お酒を育て、ファンを育て、そして未来を明るくする商売をして、日本酒の復権を目指すべきだと私は考えているのですが…