小倉・食彩ぽぽ庵 再び和む

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 小倉での楽しみ

昨年の同月同日の夜、この小倉で入ってみたい店を探すのに悩み抜いたのを今でもよく覚えています。そしてその時、またこの町に来ることがあれば、もう一度必ず寄りたい店を見つけたのでした。
全国的に有名な店でもなければ、小倉名物を特別においしく食べさせる料理屋でもありません。竹田市での「陽はまたのぼる」のように、小さな町の地元を元気にしようという店とも違います。何しろ大繁華街の小倉です。競合店との戦いに勝たなければ、町を元気にするどころではありません。
人によって好きな店の基準は当然異なります。そこへ私の好みを押し付けようとする気などはもちろんありません。
しかし、日頃から思うものの、自分の好きな店にコレと言った基準があるのかさえ真剣に考えたことはなかったことに気づきました。
きっと、今回はいい機会になりそうです。

 食彩ぽぽ庵

昼間の晴天からうって変わり、店に向かう頃は小雨がポツポツと落ちてきました。私は折りたたみの傘を手にしてホテルを出て、昨年覚えた道を辿るだけです。
玄関を開けるとやはり明るく元気な声でお迎えてくれました。
20時近くでもあり、奥のお座敷の方はピークの賑やかさのようです。
カウンター席には昨年と同じ下関からという方がいらっしゃいます。
私が席に着こうとすると、昨年の彼女(ゆうこさん)がやや緊張気味に「あっ!どうも…」と声を掛けてくれました。

もう一人の女性スタッフが「傘をお預かりします」と気づいてくれたのには感心しました。もっとも濡れてないので、預かってもらうまでもありませんでした。


先ずは「門司港地ビール・ヴァイツェン」からいただきます。
これぞ小倉ならではのご馳走ビールです。そして、ビールとともにいただいたのが「クリームチーズの味噌漬け」。
ゆうこさんと話していると、昨年のことを覚えてくれていて、「もしや?」と思いながら、最初に「どうも…」と声を掛けてくれたそうです。
うれしいですね、1年前に一度来たきりなのに。
次は昨年同様に「天心・純米吟醸」、北九州の地酒です。
注いでくれたのは先ほど私の傘に気づいた女性スタッフでしたが、お酒を注ぐのは2度目だといって、少し硬くなっていました。そんな会話も気さくにしてくれ、和ませてくれます。

料理はたこ刺しをお願いしましたが、その横に小倉の郷土料理「いりこの糠炊き」を小鉢に添えてくれました。普段は生イワシで鰯のぬか炊きを作ることが多く、別名「じんだ煮」とも言うそうです。山椒の香りが効いて、いりこならではの食感がむしろお酒には合います。あとで調べると糠味噌を入れて、醤油、味醂で味を調えるのだとか。これは良いです。

 通いたい店

改めてですが、私はグルメでもなくそれを気取りたわいわけでもありません。正直に、高級な食材に特別興味を持つわけでもなく、たまに少し気の利いた料理や、普通の食材を美味しくいただければ幸せなのです。

失礼な言い方をすれば「高くて旨い」はありがたくない。しかし、これまで「この店はなあ…」と首を傾げた店は、料理でよほどガッカリしたお店よりも、むしろ接客に頷けなかったお店がほとんどです。でもこれも言わば普通でいいのです。普通に行くなら普通でいいのです。

食彩ぽぽ庵。
1年前に初めて来たときも、1年ぶりに今回に来たときも、暖かく迎えてくれました。しかも覚えてくれていました。居酒屋は料理とお酒を間において人と人が触れ合う店のことだと考えていたのです。
私にとって何度でも通いたい店はまさにそうで、私はそんな店が好きだったことをここで気づかせてもらいました。
この食彩ぽぽ庵の真似をするならした方が良いと思います。しかし、これができない。できないのです。他人事のように言うなら「できるならやってみな!」
「明太子の天ぷら」、揚げ方が絶妙でした。
お替わりのときの「天心」は、さらに上手に注いでくれました。
仕上げにいただいた「アサリの味噌汁」はホッとさせてくれました。
マネージャー、春の甲子園では小倉高校の勇姿を見たいですね。
今年も本当にお世話になりました。

ありがとうございます。

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