岡山県備前一宮・吉備津彦神社

 岡山の名所名物

岡山といえば「桃太郎」を思い浮かべる人はまだいるだろうか。
いや、それ以外思い浮かばないという人の方が多いかも知れない。
他には後楽園、倉敷の美観地区あたりがせいぜいで、桃とマスカットときび団子まで出てくれば大したものになるのだろう。

そんな岡山で桃太郎伝説の発祥の場所まで行ってみた。
事前にはその近くに「板野酒造場」があることは、当然に情報として抜かりなく仕込んでいた。

備前一宮駅前看板

最寄り駅は「備前一宮駅」
もちろんと言っては失礼だが、無人駅だ。
ただ、東京の者からすればPASMOが使えるのは助かる。
ここから徒歩で5分ほどの吉備津彦神社を目指すことになる。駅ホームのから見える山の麓に吉備津彦神社はある。
駅横にはレンタサイクルの店があり、欧米系の日本語の上手な親子連れが楽しそうに自転車を選んでいる。
季節は5月半ばの晴れ渡った日でやや汗ばむほどの陽気だが、駅前通りに商店が殆どないお昼近くの寂れた町は、静まり返った空気を湛えているように見えた。果たして活気があったのはいつ頃のことなのだろう。

吉備津彦神社のある山裾を北から西へ回り込んだところには「吉備津神社」がある。
さらにそのまま国道沿いに西へ暫く行くと、備前から備中へ変わり、豊臣秀吉の武勇伝の一つとして有名な「備中高松城水攻め」の地がある。
そのすぐ近くにある朱塗りの大鳥居をくぐり北へ進むめば「備中最上稲荷」まで緩やかな坂を登るとたどり着ける。
神話や史跡だけでなく古墳も含めて、この辺りは歴史をたどるには不自由しないだけの場所が連なっているのだ。

 吉備津彦神社

実はこの吉備津彦神社、私が高校生の頃毎週のように訪ねた場所で、周りの景色も皆んな記憶の中に残っている。
その頃と様相は変わらないままに現在に至る吉備津彦神社。
神話の中の吉備津彦命(きびつひこのみこと)が伝説の桃太郎のモデルだということに地元ではなっている。
その吉備津彦命を祀った神社が「吉備津彦神社」だから、わかりやすい。
しかもその神社の近くには当然のように笹ヶ瀬川、中川の他に用水も流れていて、どんぶりことやって来る桃に結びつけるにも格好の立地には思えるが、真偽は私にはわからない。

この吉備津彦神社の階段手前には「日本一」と言われる巨大な一対の石灯籠。八畳敷の土台に高さは11メートルほどというから確かにその姿は相当な大きさだ。
「吉備津神社」も、この「吉備津彦神社」も全国的には全く無名だろうし、地元の人たちがどれほどお参りしているかも私には知れないことだが、歴史とともにあった荘厳さはそのままに保たれている。

山の西側にある吉備津神社はその季節になると、参道と山が色づくほどに背丈の高い「金木犀」の木で覆われている。そして吉備津彦神社の方は、案外に珍しい「銀木犀」の老木を大切にしている。

いくら平日とは言っても昼時だというのに、吉備津彦神社にある唯一の茶屋は閉まっていて、他に食事ができそうな場所も見当たらないのは、観光の人にはいささか不便なことだろう。

 亀島神社・鶴島神社

少し引き返して板野酒造場へ向かおう。
どっちが目的だったかは考えないでおく。
先ほど通ってきた参道の両脇には「神池」と言う名の池があり、参道からそれぞれに細い道がつないでいる。

南を「亀島」と北を「鶴島」と呼び、南には「亀島神社」北には「鶴島神社」があって両方とも水の神様らしい。
鶴島のある池と道路を挟んだ山側には広い駐車場があるのだが、その空を少し季節の外れた鯉のぼりが列をなして泳いでいた。

亀島の周りには笑い話のように、甲羅干しをしている亀がひしめき重なり合って、泳いでいる亀までが「親亀の背中に…」という様子に見える。

ここから300メートルほど離れた国道に目的の酒蔵「板野酒造場」はある。

亀島の亀島神社

脇へ逸れ、用水に沿ったあぜ道のようなところを歩いた方が近道のようだ。
少し蒸れた草いきれがむしろ心地良い。
昼下がりの日差しに緑が眩しくなった。