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日本の真ん中、歴史の真ん中
二の丑の近い8月の初め、琵琶湖の北東にある滋賀の長浜・豊公園の水際から見渡す景色は、向こう岸も霞み、南は遙かな先まで伸びる水面が続いている。
秀吉が建てた長浜城。
その少し南に、三成が居城とした佐和山城。
さらに南には、信長の栄華の象徴ともされる安土城。
佐和山城の近くに琵琶湖を治めるがごとくに築城されたのが彦根城。
ー湖国-
琵琶湖の名物・鮒ずし
食品をどう保存し、食料が安定しない時や取れない時に、また日々の生活やハレの日に利用してきた保存食文化。漬物を始めとして、日本人の生活に保存食文化は欠かせないだけでなく、世界に誇る豊かさを持っている。
そんな時間の旅に思いを巡らせながら城を離れ歩き始めると、湖の方からサヤサヤと風が渡ってくるのを背に感じる。猛暑の夏の壱福の涼風。
そこに静かに佇む看板を見つける。
きっとかつての街道だったと想像する街並みは落ち着き払っている。
そして、その看板の中に、真ん中に相応しいものがある。明日の朝、訪ねよう。
彦根市佐和町 丸十食品。
張り紙の説明を見ながら、「1年も寝かせてるんですか?」
「もう2年になりますね。ちょうど今朝取り出して並べたとこです。」
近頃ではニゴロブナの漁獲量が少なく、琵琶湖周辺でもなかなか行き渡らず、骨が柔らかく食べやすいニゴロブナの鮒ずしは造りたくても、量を作れなくなったそう。昔は各家庭でも作っていたものが、今ではほとんどが専門店でのみの扱いになって、地元の一般家庭では楽しめなくなっているようだ。
地元で食べられない地元の名物?
古来の食文化も時代の流れに姿を変えていく。
日本の真ん中の景色は、さらにどう変わって行くのだろう。