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クリスマスの今は昔
「クリスマスには1日で1ヶ月の給料分くらいのチップをもらったよ」
そう聞いたのは常連の長く飲食の仕事をしているお客様からで、1990年頃です。
そのお客様自体が「俺の若い頃のクリスマスには…」という話ですから、実際は1960年頃のことかも知れません。
「クリスマスは電車を降りて、渋谷駅から出るだけで大変だった。ヨチヨチ歩きのようにしか歩けないほど人がいた」そうです。
何かのイベントが有る渋谷駅は今も同じようなものでしょうが、その頃は居酒屋などなく、飲食店の数も今とはまるで違う時代です。そのお客様は若い頃にはボーイをやっていたということでしたから、概ね想像はできます。
昔と今
今や飲食店の姿がまるっきり変わってしまい、その頃の面影さえが残っていないのが現状です。懐かしがって言っていると思われては、いくらか趣が違います。そんな昔の飲食店の良かったところと、残念だったところ。そしてそこから現在を見た時に、良くなったところと、残念なところ。いつまでも同じものや空間に変わらぬ価値があるわけではなく、変遷しグレードが上がるならば誰もが歓迎すべきことに違いありません。
その昔、学生街の一部の店を除いては、庶民が毎日のように通える店など殆どなかったのです。安く飲めるようになったのは良いとして、それには当然、省くことになったことがたくさんあるはずです。
団体様大歓迎
先に話した時代には、パーティ券を売って大人数のクリスマスパーティが当たり前だったりしたそうです。クリスマスと言い、忘年会と言い団体が当たり前で費用を会社がもつことも珍しくなかった。箱根で会社の忘年会という話もあったくらいです。
今ではそんな集まりは影を潜め、40名を超える忘年会を企画すると場所に困ってホテルの宴会場を選ぶしかなかったという話も聞きます。
団体さん中心から個を中心の単位に変わったのです。
今年のクリスマス
さて、今年クリスマスに賑わうのはどんな場所でしょう。どこに行ってもイルミネーションに凝り、大騒ぎからは縁遠くなったクリスマス。どう楽しもうと、それは人それぞれのことですが、何だか世間に振り回されている感が拭えないのは私だけではないと思うのです。
クリスマスをクリスマスとして楽しもうとしたことはない私です。飲む口実としては全く不足がないのが私にとってのクリスマス。こればかりは変えようがなさそうです。