2018年の竹田ゴールデンかぼす

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 ゴールデンかぼすの居場所

今年2018年は大分県竹田市までゴールデンかぼす応援隊の件で伺うことはありませんでしたが、例年通り多くの居酒屋で利用していただきました。
そんな中、東京の桜上水にある居酒屋「一平」さんではお客様のお一人で短歌をやられている方がいて、来月号の「月刊短歌」にそのお店で飲んだゴールデンかぼすサワーを詠まれたものが掲載されると聞きました。少しご紹介します、ありがたいことですね。

ゴールデンかぼすの甘酸きに
明日のくるをのばさんとする
小長井涼さん

ゴールデンかぼすと言っても、まだまだ名前は一般化しているわけでもなく、馴染みの薄い関東では生しぼりサワーの価値も定着していないだけでなく、他にどう使うかの文化もないのです。もちろん関東で売ろうとしている居酒屋自身にも、その価値を高めようとか、料理にも活かそうとかの努力が足りないのも事実で、場合によっては持て余すような状況になっていたのでは何の意味も生まなくなります。

どんな商品も人が認めてくれるまで険しい道を辿ることはやむを得ないことですが、アピールの仕方や特徴の伝え方に依る優劣に左右されることも珍しくないことでしょう。
どんな利点があって、類似の商品とどこが違っていて、どこが優れているのかを明確にすることから始めるべきだと私は考えていますが、この「ゴールデンかぼす」にはその作戦が大きく欠落していると今年は特に感じました。

地元大分の人たちにとっては日々の生活の中に常に存在するかぼす。その効用や使い方など、今さら講釈する必要もなく、何か他のものと比べる必要もないのですから、そんなこと思い浮かぶこともないでしょう。
ところが、大分以外ではレモンやライム、グレープフルーツ、柚子やオレンジの方が圧倒的にポピュラーで日常に存在しているのです。ここから離れて、ゴールデンかぼすを試したり使ったりする必要さえないのです。

試してみたい。
使ってみたい。
世間の人にこう思わせるには何が必要で、どう訴求するかが問われていると私は大きく感じた今年でした。そう、むしろ大分の方たちこそがこの「ゴールデンかぼす」の価値を知らないのです。常に身近にあるだけに、そんなことは考えてもみないことで、もしかしたら説明さえできないのではないでしょうか。
だからこそ、このゴールデンかぼすの居場所がわからないからこそ、竹田市で用意したPOPがこうなったのかなあと私は理解したのです。

 ゴールデンかぼすの特徴は?

・ 香りも味も全く癖がありません
・ 1年の内、1ヶ月しかお楽しみいただけません
・ グレープフルーツと違い心臓の薬にも問題なし
ゴールデンかぼすはグリーンかぼすと比べて果汁が多く酸味がやや弱く甘みが若干増しています。かぼすの香りはコレというわかりやすい特徴はなく、飽きることのない爽やかさが先に立ち、どんな料理もジャマをすることはありません。焼き物揚げ物等にレモンを搾りかけた時に残るレモンの味と違って、かぼすの場合は爽やかさだけが残り、料理の素材の味を引き立てます。

さらに、グレープフルーツには心臓の薬の邪魔をする成分が含まれていますが、かぼすにはその成分がないので心臓の薬を常用している方にも問題なく楽しんでいただけます。
また、グリーンかぼすは商品として比較的に定着していますが、ゴールデンかぼすは世間での需要がないため生産農家としても商品として売りようがなく、樹に残すわけにもいかず、その処理に生産性のない苦労をしてます。
しかも、ゴールデンかぼすは10月終わり頃から12月初め頃までという限られた期間しか出荷できません。この時期にしか楽しめないゴールデンかぼすをその特徴ピッタリの生搾りサワーと季節の料理でお楽しみください。
以下は私の作ったPOPです。

 呑兵衛銀座一丁目店で懇親会

2018年は私たち竹田ゴールデンかぼす応援隊が竹田を訪ねるのではなく、竹田から生産農家のお母さんたちに東京まで来てもらってゴールデンかぼすがどのように使われているかを見てもらうことになりました。
今回はその会場が「呑兵衛銀座一丁目店」で、ここでのお店の対応に皆が眼を見張ることになったのです。

すべての料理にゴールデンかぼすを必ず合わせていて、それぞれの料理が主張していました。画像はないのですが、「かぼす入りアジのなめろう」はかぼすの果汁を加えた絶品でした。香りは特に感じることはなく、果汁の酸味がほのかに加わったところに、素材の旨さが引き立っていて箸が止まりません。千葉と大分がコラボしたような料理です。きっと、大分の郷土料理の「リュウキュウ」にも合うに決まっていますが、地元では使っているのでしょうか?
鶏の唐揚にゴールデンかぼすと柚子胡椒を絡めた料理も食べ飽きしない出来栄えです。

鬼かぼす鍋

ここに締めで出てきた「鬼かぼす鍋」。
コレにはたまげました。タラ鍋にたっぷりのゴールデンかぼすスライスを蓋のように載せて、コレでもかと主張しています。このまま一緒にゴトゴト煮込んでいってゴールデンかぼすの旨味をタップリと鍋の中に取り込んでしまおうという試みです。
コレには参りました。
スープの中に爽やかな酸味が広がり、取り皿に醤油を使うだけでポン酢のような味わいになります。

東京にはかぼすに対する常識がありません。だからこそ挑戦ができるのです。今回こうして様々な工夫と努力をしてくれた呑兵衛銀座一丁目店には心より感謝申し上げます。調理長の心意気、店長のこだわり、どれをとっても竹田からのお母さんたちは喜んでくれたことでしょう。生産者と取り扱う店舗が心一つにしなければその先にあるお客様に楽しんでもらうことはできません。

「ゴールデンかぼすの」価値の一般化と普遍化にどうずべきかを考えて進める方が答えは早いようにも思えます。
産地の常識は世間の常識ではありません。
何をどう訴えるかが肝になることはよく分かりました。私たち竹田ゴールデンかぼす応援隊と竹田市、組合婦人部のお母さんたち、関東での取り組みが来年以降にどんな役割を果たせるかが問われています。